ものづくり起業セミナー第3回目「熱さまシートの開発企画から商品化まで」佐藤美雪氏に行ってきました。 講師の佐藤さんは小林製薬のヒット商品「熱さまシート」の開発者であり、現在は中小企業診断士としてご活躍です。 今回のご講演は、ヒット商品を作り出すための企画方法についてのお話でした。これまでのものづくり起業セミナーは技術に偏った話ばかりでしたが、今回は技術の話はほとんどなく、企画やマーケティングに重点が置かれていて大変参考になりました。アイデアをどうやって出すのか、出てきたアイデアについてどのように市場調査するのか、商品名やキャッチコピー、デザインをどう決めるか、どのように広告するか、などなどエピソードも交えて盛りだくさんの内容でした。 「熱さまシート」はうちでもよく使っています。子供の発熱時に重宝してます。競合製品であるライオンの「冷えピタ」を使うこともありますが、熱さまシートの方が先行商品だったんですね。商品を比べるとわかりますが、両者とも同じようなパッケージデザインとなっています。今回パッケージデザインの話を聞いて、その中に様々な意図や工夫が隠されていることがわかりましたが、そうやって見ていくと「冷えピタ」が「熱さまシート」をデザインごと真似していることがよくわかります。両者に機能的な差はほとんどありませんから、消費者としては「おでこに貼って冷やすもの」というイメージで買いに行って、先に目に付いた方、あるいは安い方を買うということになります。競合製品が出てきたときの対処方法の話などもあって面白かったです。 今回のセミナーが良かったのは、いかに技術開発するか、ではなくて開発した商品をいかにヒットさせるのか、という点にポイントを当てていたことです。すでに起業している人やこれから起業しようという人は、すでに独自の技術を持っているはずです。ですから、技術の紹介や技術開発の苦労話なんて聞いてもあまり参考にはなりません。むしろ、これからどうやって売れる製品にブラッシュアップしていったらよいのか、あるいはどうやって市場開拓していったらよいのか、ということに悩んでいたり不安を持っていたりするのです。その意味で、今回の話は本当に参考になりました。 もっとも小林製薬のような大きな企業の中での開発環境と、うちのように創業したばかりの企業での開発環境とはあまりにも違うので、同じ手法をそのまま適用することはできません。マーケティングについても、すでに多数の製品が棚に並んでいるメーカーと創業したての企業とはあまりに状況が違うので、独自の工夫が必要です。今回のセミナーで特に良かったのは、そういった点まで話が及んでいたことです。 セミナーの後半では、佐藤さんがマーケティングのサポートをしたgobeスタンプが事例として挙げられていました。私はgobeスタンプのことを全く知りませんでしたが、判子屋の娘さんの大下範子さんがデザインした素敵なデザインのスタンプです。去年、全く無名のところから販売をスタートしたばかりなのに、ちょっとググッてみればわかりますが、すでにヒット商品になりそうな勢いです。 最初は京都の知恩寺の手作り市から始めたそうです。知恩寺の手作り市は京都では有名ですが、全国区ではあまり知られてはいないでしょう。たくさんの雑貨の露店が出ていて面白いものも多いのですが、全国区で売れるとなると簡単ではありません。商品そのものが良いのはもちろん、ある程度量産ができて、なおかつ販売戦略がうまくいかないと、全国区で売れるようにはならないでしょう。 gobeスタンプの場合は、判子屋さんの娘さんが作っているわけですから技術もしっかりしているし量産体制もできているわけです。もちろんデザインも素晴らしいのですが、それだけでは手作り市の域から出ることはできません。デザインスタンプは最近ちょっと流行りになりつつあるのかもしれませんが、大きな市場が形成されているわけでもありませんし、逆にとても独創的というものでもありません(ちょっとググッてみると似たようなものが結構あります)。 ポイントとなるのはブランド戦略やマーケティングということになるでしょう。ここで、佐藤さんの力が大いに発揮されたわけです。重要なのは、コンセプト作りとコンセプトに沿ったマーケティングということで、大いに納得するところではありますが、実際にそれを遂行するとなると自分たちだけでは難しいかもしれません。漠然としたコンセプトはあっても、それを形にしてうまく表現するのは経験が必要です。佐藤さんのような専門家のサポートを受けるのが一番よさそうだと感じました。
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